沈黙のメッセージ

人が話していない時、何を言っているのか聞く事が出来るでしょうか。主が沈黙されている時、主が何をおっしゃっているのか聞く事が出来るでしょうか。

私はいつも、イエシュアの十字架には二つの主要なメッセージがあると言っています。一つは口頭で、もう一つは書かれたものです。

口頭のメッセージは罪の赦しです。イエシュアは十字架上で叫びました。「父よ。彼らをお赦しください。彼らは、何をしているのか自分でわからないのです。」–ルカ23:34。これらの言葉で、そして、主の死を通した贖いによって、イエシュアは、恵みによる救いを永遠にもたらしました。

書かれたメッセージは御国に関わるものです。「これはユダヤ人の王イエスである」–マタイ27:37。これは、主が十字架に架けられた時に、主の頭上に掲げられたものです。それには三つの言語で書かれていました。それは、権威、アイデンティティ、王政、政府、戴冠の宣言でした。

しかし、それ以上のものがありました。主が十字架上で語られたのはほんの数秒、もしかしたら１分ぐらいでしたが、十字架刑は6時間続きました。もう一つの言語、すなわち、いわゆる「身体言語」と私たちが呼ぶものです。言葉が話せない時、愛、犠牲、奉仕、支援を示されました。

あなたが愛する者へ、その者が聞く耳を持たない時、どう伝えたらいいでしょうか。間違いを行った者へ、その者が聞く耳を持たない時、どう伝えたらいいでしょうか。

どれほど神は語られて、私たちは聞く耳を持たないのでしょうか。–黙示録2:7。何か非常に良いものがあり、私たちにはそれらを受け取るに足る信頼がないのでしょうか。何か非常に悪いものがあり、私たちにはそれらに耐えうる十分な信仰がないのでしょうか。

神は私たちの父です。主は私たちを愛しておられます。私たちは主の子どもたちです。私たちは主に対して反抗や拒絶を通して罪を犯しました。–イザヤ書1:2、マラキ書1:6。私たちは主を傷つけました。私たちはそれを知らず、またはそれについて気にしていないのです。

御子であるイエシュアは父の愛を示されるために来られました。–ヨハネ3:16。私たちは何をしたでしょうか。私たち人類は、主を十字架に付けたのです。主は何をされたでしょうか。主は、ご自身を十字架に付ける事を許されました。--沈黙。主は御手を広げられました。主は苦しまれたのです。

十字架上で、イエシュアは沈黙のまま苦しまれ、私たちが聞く耳を持たない時であっても、どれほど神が私たちを愛しておられるかをお示しになりました。これは究極の愛の行為です。これは犠牲的な愛です。それは、沈黙のまま、愛する者の手によって。苦しまれる意志を持っておられるのです。

これは十字架の「沈黙のメッセージ」です。聞こえるでしょうか。私たちが愛する者のために、彼らが聞こえなくても、自分自身でその道を歩む事が出来るでしょうか。私たちを愛して下さる人々から、それが聞こえるでしょうか。私たちはそれに気が付かないのです。

兵士は、十字架に架かっているイエシュアの心を貫きました。–ヨハネ19:34。ある日、私たちは自分たちが突き刺した者を仰ぎ見、私たちが何をしたのかを一部理解し、そして、主が何をして下さったのかを理解するのです。–ゼカリヤ書12:10。私たちの心も主と共に貫かれるのです。

イエシュアは両手を広げ、何も言いませんでした。御父が語られているのが聞こえますか？